死刑囚が死刑を執行される際、死刑執行の朝、独房のドアを開けられ死刑執行を告げられ、そのまま刑場へ連れて行かれ死刑が施行される、というのは死刑囚の心の準備が出来ず残酷だから、以前のように死刑執行の何日か前に執行を告げるべきだ、と死刑囚何人かが訴えていた裁判の判決が昨日出ました。
判決は原告敗訴、つまり死刑当日の朝、執行を告げそのまま刑場へ連れて行かれ死刑が執行される、という今の方法に変更がないということになりました。
以前、どれくらい前だか定かではないけれど、以前は死刑執行何日か前に宣告がなされていたんだけど、宣告された死刑囚が死刑執行前に自殺した、ということがあったので、いまのような制度になったんだとか。
自殺されたのは、そういうことは当然あるだろうに、刑務所側がしっかり監視していないからだと思うんで、これは刑務所側の怠慢の責任を死刑囚側に押し付けたように思うんだけど。
私のが小学生だった頃、駅前の映画館に 顔パス では入れたんでほぼ毎週3本立ての映画を観ていた(当時の田舎の映画館は毎週演目が変わっていました)んだけど、その中の一本に死刑を執行される死刑囚の映画があり、子どもにはショッキングな内容だったせいか、今でも内容を憶えています。
死刑囚役は川路民雄さんで、死刑執行前日、翌日死刑が執行されると告げられるんだけど、彼の母親にはそれよりも前に死刑執行日が知らされていたのか、母親(北林谷栄さん?)が何重もの重箱一杯に彼の好物を詰めて面会に訪れます。
面会場は、よく映画で観るような仕切りのされた場所ではなく、普通の部屋で死刑囚とその母親の面会に刑務官が立ち合い、母親が出した彼の好物のちらし寿司を刑務官が、規則ですから と言って一口口に入れ、死刑囚に食べるように促すんだけれど、とても食べられない。
いいですか、と刑務官に許可を求めてから、母親をおんぶして 母さん軽くなったな と言いながら部屋を歩く、ここらあたりで劇場内嗚咽の嵐。
でも、死刑になるってことは強盗殺人を犯したか、3人以上の人を殺している、ってことだから、被害者のことを考えれば、どういう事情があっても死刑囚に同情なんかするのもオカシイんだけど、まあ泣かせる場面ではありました。
短い母親との面会が終わり、翌朝刑務官に連れられ刑場へ向かう死刑囚、もし旧死刑執行制度に興味のある方は多分DVD化してると思うから、買って・・・、観ることもないかなあ。
そうそう、宇野重吉さんの、翌日死刑執行が告げられている死刑囚の飄々とした演技も良かったなあ。
60年前なのに映画のことはよく憶えているものです。
映画のタイトルは多分 処刑前夜 です。
日本の未執行の死刑囚、100人以上居るようで、判決から執行まで10年20年かかる場合もザラだとか。
死刑制度への賛否様々あり、私も賛否どちらかは決めかねますが、多くの未執行の死刑囚、私よりも長生きするのは間違いないと思うと、ちょっとナンだよねえ。